工業製品も加工方法も理解しているが、思った通りの部品調達ができていない…
色々なところに見積もりを出しているがばらつきがある…ボラれているのか?
町工場って単純作業の繰り返しだと思ったら新しい事ばかりやらされる
もっと技術力が磨けると思ったのに単純作業ばかりやらされる
時代が変化する中、町工場も少しづつではありますが、変化してきております。それが町工場スタイルです。
この記事では、町工場ガイドを読み進めていく上で重要な町工場スタイルに関して勉強していきます。
自社に適したスタイル、依頼するのに適したスタイル、働きたいスタイルを見極めて参りましょう。
この記事を読む価値
『日本の町工場について、4つの視点の3の視点を学ぶことで町工場スタイルから町工場をより深く理解する!』
町工場で働く人:『自社を理解し、自社を見つめ直す機会に』
依頼したい人、転職したい人:『町工場の基礎を理解し、今後の活動に役立てる』
町工場のスタイルとは町工場ガイドのオリジナルの考え方です。
工場には生産形態や生産方式といった用語があります。
商品を見込みで作るのか?受注してから作るのか?
ベルトコンベアのようにラインで流して生産するのか?1個1個生産するのか?
生産計画は、短期で決めるのか?長期で決めるのか?
生産形態や生産方式は、その工場や、作っている製品によって、変わってきます。製造業ビジネスを語る上で欠かせない考え方になります。
では受託製造業である町工場はどのような生産形態なのでしょうか?
町工場ガイドでの町工場の定義である「多品種少量生産で工業製品の一部(部品、工程)の加工、組立等している中小受託製造業」を守りつつ
+で 「上流に食い込むか、下流に食い込むか」を追加し、4つの町工場スタイルとしてまとめました。
①見込み生産型
②受注生産型
③研究開発型
④ニッチメーカー型
基本的に、町工場は以上の4つに該当すると考えてもらって問題ないです。(又は複数持っている。)
以下、概要を記載していきますが、詳しく知りたい方は、町工場で働く人カテゴリーをお読み下さい。
①見込み生産型【いわゆる下請け?悪いことばかりではないことについて】
あらかじめ予測して販売計画に基づいて生産する生産スタイルです。注文より先に生産するため、需要が高く、安定している長期製品などの量産品の生産が該当します。
いわゆる大手メーカーの下請けの場合が多く、薄利多売な利益構造です。多くの人がイメージするのは見込み生産型の町工場ではないでしょうか?
しかし、悪いことばかりではありません。需要が安定していれば、売り上げを上げやすいですし、一度加工してしまえば、段取り替えや加工方法で悩むこともなく、NC機械で加工すればアルバイトでも加工ができます。
②受注生産型【多品種少量生産が求められる時代!利益を上げる仕組みにする難しさ】
見込み生産型と対極に位置するのが受注生産型です。
その都度受注された数だけ取引先が指定した設計図面、データを用いて個別に生産する生産形態で、注文ごとに仕様が変わることが多いです。少量品、試作品、実験や検証に使う治具作成など非量産品が該当します。
書籍などで受注生産は個別受注生産と繰返し受注生産(ロット生産)の2種類が書かれてますが、基本的には、受注生産であれば個別もロットも対応している町工場がほとんどです。わかりやすくするために町工場ガイドではまとめて受注生産型としています。
変化が激しい昨今、同じものがずっと売れ続ける時代ではありません。そう考えると見込み生産型ではなく、受注生産型になるのも納得です。
見込み生産型よりも単価を高くすることは可能ですが、その分段取り替えが多く、技術者が必要になります。また、管理することも増え(プログラム、受注情報、どの材料、どの加工機械で誰がどう加工した等の4M情報など)どうしても利益が上げづらいのが現実です。
③研究開発支援型【上流食い込み】【川上に切り込む!町工場の力を120%発揮する】
研究支援型町工場とは、一部の加工、工程を行う受託製造業ではありますが、従来の加工に特化したビジネスモデルだけでなく、その上流である設計企画まで自社の事業領域を広げた町工場です。
自社の加工技術・知見を活かして、企画設計に参加・提案し、上流に食い込んでいくことで、付加価値を上げることが可能です。
受注生産方式であると、顧客に提供するための製品のみならず、設計企画段階である試作品の加工依頼も増えてきます。加工屋しかわからない、安く、早く、高品質にするアドバイスがもらえることは、依頼主にとって自社の発展を加速させます。
昨今、ファブレス経営や人手不足による、加工がわからないメーカーが増えていると感じています。そんな中、加工に特化してきた町工場が強みを活かし、上流に食い込むことでサービスによる付加価値向上を狙っていくことは、今後増えていくと思われます。
④ニッチメーカー型【下流食い込み】【目指すはBtoB/BtoC?夢物語で終わらせない町工場の自社商品開発とは】
一部の加工、工程を行う受託製造業ではありますが、その自社内で企画・設計を行い、下流である販売段階まで事業領域を広げた自社商品を持つ町工場です。
自社の技術力を活かして、他社に真似されにくいニッチ市場の中でメーカーとして成り上がった町工場も増えています。受託製造業が基本のため、お客様に合わせてフレキシブルな対応ができることも大きな強みでしょう。
ただ、PR目的と割り切りならまだしも、売れ続ける自社商品を考えることは容易なことではありません。
2、町工場スタイルを自社(自分)にどう活かすか?
町工場スタイルは町工場を理解する上で重要な考え方です。
注意点として、それぞれのスタイルで色々なメリットデメリットがあるが、どれがいいどれが悪いはない。その企業の状況や読者の立場で最善は違ってきます。
町工場で働く人が目指すべき町工場スタイル
町工場は現状の自社に合ったスタイルを極めていけばいいし、また目指したいスタイルがあるのであれば、経営目標として社員一丸となって目指せばいい。
今回の記事では①自社の現状を内部分析しやすいように②自社の将来をイメージしやすいようにぐらいの理解で構いません。
経営目標・経営ビジョン、経営戦略(成長戦略・競争戦略に落とし込むその町工場の現状のスタイル(内部分析)と目指すべきスタイル(経営ビジョンと目標)とのギャップ(課題)を、戦略に当てはめて、埋めていけばいいのです。
詳しくは経営者向けの記事をご参照ください。
町工場に依頼したい人が探すべき町工場スタイル
依頼したい人は町工場のスタイルを見極めて、自社に合ったスタイルの工場に依頼することでQCDの向上に繋げることが可能です。
見込み生産型に1個の試作品を頼むのはQCD上、非効率です。逆も同じで、受注生産型に見込み生産の量産品を依頼するのも非効率です。
研究開発型は聞こえはいいのですが、あまり自社の設計に介入して欲しくないメーカーも多いでしょう。そういった意味ではベンチャー企業などに向いているかもしれません。
ニッチメーカー型は、その自社商品と似た商品や技術が必要な場合は、一から町工場に依頼するよりも事業スピードが速くなる事は一目瞭然です。
町工場に転職したい人が目指すべきスタイルとはどれ
転職したい人は町工場のスタイルを見極めことが、自分に合ったスタイルの工場に転職することで、自身の働き方に直結するため、仕事の充実につなげてください。
黙々と集中して作業することが好きなのか?それともものづくりで色んなことに挑戦していきたいのか?
町工場スタイルを見極めてから転職する事は、ミスマッチを防ぐには重要です。
まとめ
いかがでしょうか?
町工場!と聞くといわゆる下請けイメージが強い人も多いと思います。待ち工場と揶揄されることもあります。
そんな中、町工場も黙ってはおりません。新しい町工場、特に事業承継にて若い経営者が時代に合わせた努力をし、新たなアイディアで町工場業界は活性化してきております。
そんな状況を理解せずに、働く、依頼する、転職するのは何かチャンスを逃していると思いませんか?
3の視点、ぜひ活用して下さい。
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