超わかりやすい町工場・ものづくりのブログ
町工場の基礎・全カテゴリー共通の記事

町工場とは【日本の町工場の定義と特徴】

町工場とは?①
発注者
発注者

町工場って言われてもよくわからないや…

職人技?独自技術?後継者不足?加工方法?

発注者
発注者

町工場ってよくわからないし、自分が働くのは嫌だな…

3K職場?給与も安いし、モテなそう…

yohei
yohei

町工場はいろいろなTV番組で取り上げられることも多いですね。
ですが「町工場」に関しての曖昧なイメージしか持たない読者も多いでしょう。

町工場を経営するにしても、依頼するにしても、転職するにしても、町工場を理解しないと

話が進みません。ここでは町工場ガイドの基本となる、町工場を定義していきます。

この記事を読む価値

『基本である町工場の定義を設定・理解する』

町工場で働く人:『自社を理解し、自社を見つめ直す機会に』

依頼したい人転職したい人:『町工場の基礎を理解し、今後の活動に役立てる』

皆さんの一般的な町工場のイメージは?【町工場がわからないことによる弊害】

町工場と聞いて皆さんはどのようなイメージを持っていますか?

以下のようなイメージを持っている方が大半だと思います。

⚪︎町工場の良いイメージ×町工場の悪いイメージ
熟練した技術力
小規模な家族経営
高品質な製品やサービスの提供
地域社会との結びつき
小ロット生産への対応力
下町ロケット
非効率的な生産方法
労働環境が悪い、3K職場
技術の陳腐化、産業の空洞化
労働力不足
高齢化による後継者不足
下請け

仕事で関わらなければ、町工場を知る機会はメディアでしかないと思います。

不景気のニュースのVTRで流れる町工場・・・

すごい技術力や職人技、面白い自社商品をドキュメンタリーで紹介される町工場…

いろんな角度からメディアで紹介される町工場…

ですが、みなさんイメージだけで町工場ってよくわからないと思います。

具体的に町工場って何?と聞かれて答えれれる人はほぼいないでしょう。

町工場ガイドでの町工場の定義とは?【キーワードは多品種少量生産と受託製造業】

結論から述べると町工場ガイドの町工場の定義は以下です。

町工場:多品種少量生産で工業製品の一部(部品、工程)の加工、組立等している中小受託製造業

町工場ガイド

町工場ガイドは町工場を中心としたものづくり・製造業全体の発展を目指した情報サイトです。


筆者と読者で町工場の定義が乖離していては話になりません。

今後、記事の理解を深めていく為に、主役である町工場の定義を明確にすることが大変重要です。

そもそも「町工場」をネット検索してみると

町工場:町なかにある小さな工場

コトバンク:https://kotobank.jp/word/町工場-634609


・・・全く持ってそのまんまの意味です。これでは理解が進むわけがありません。
上記の説明では、抽象的で、曖昧過ぎます。

町工場ガイドでの町工場の定義は

町工場:多品種少量生産で工業製品の一部(部品、工程)の加工、組立等している中小受託製造業

町工場ガイド

(食品も含まれますが、このサイトでは専門外のため割愛させていただきます)

町工場はもともと、大きな仕事をもらうため、大手メーカーの周りにできた小さい工場が始まりです。

それではさらに理解を深めるべく、定義を細分化し「多品種少量生産とは」「工業製品とは」「中小製造業とは」「一部分(部品、工程)の加工、組み立て等 + 受託製造業とは」に分けて、整理していきながら説明していきます。

多品種少量生産?【生産形態】

発注者
発注者

多品種少量生産ってよく聞くけど、どういうことなの?

多品種少量生産とは、その工場はどのような種類の商品をどのくらいの量(個別・ロット)で生産しているのか?ということ。

多品種少量生産は、多様な種類の製品を少量ずつ生産することです。

その逆は、少品種多量生産=大量生産です。極端に言えば、ベルトコンベア(ライン生産・連続生産)などの流れ作業で大量に製品を作ることです。

昨今では、大規模な土地があり、人件費が安い国(アジアの国々)で生産が行われています。

大量生産のメリットはなんといっても、生産効率がよく、生産すればするほど1個あたりの費用が削減できるため、利益が出しやすいです。デメリットは、多様化する消費者ニーズに対応しずらい点などがあります。

では日本の町工場は多品種少量・少品種多量のどちらの生産体制が多いでしょう?

答えは、多品種少量です。日本の町工場は圧倒的に多品種少量生産です。
それが強みでもあり、多品種少量生産=試作大国としての道が日本のものづくりが目指す道であると考えます。(また後日ブログで記載して参ります)

メリットは、多様化する消費者ニーズに対応しやすいことがあります。デメリットは段取り替え(製品ごとの準備)が多く生産効率が悪いこと。単能工(単純作業)ではなく、さまざまな製品の加工が可能な多能工が必要なこと。総じて費用が高くなり、利益が出しづらい点などがあります。

多品種少量生産でもしっかりと利益を出せる仕組みづくりが日本の町工場、ものづくりの大きな課題の一つと言えるでしょう。

工業製品?【生産・加工しているもの】

町工場はネジとか作っているんじゃないの?

工業製品って何?

一口に製造業と言っても色々な工業製品があります。

工業製品とは

工業において原材料を消費して製造される物品であるが、特に様々な工程を経て消費者に提供される段階にまで加工が済んだ物を指す場合が多い。

wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/工業製品


上記の説明ではわかりずらいとは思います。要は製造業が作る製品の理解で問題ありません。

(皆さんも小学生の頃?、第一次産業、第二次産業、第三次産業という言葉を勉強したでしょうが、要はあれです。)

ここは次の記事の町工場がわかる!【簡単!4つの視点で町工場を理解しよう】の1の視点【工業製品で見る】でも詳しく解説しております。

中小製造業【規模で見る、どこからどこまでが中小】

個人
個人

町工場って小さくて、従業員も10人前後のイメージだけど、TVだと100人ぐらいの工場を町工場として取材してる…?どこからどこまでが町工場なの?

町工場は、町にある工場のため、土地が限られています。同時に工場が狭いため、従業員が少ないのが皆さんのイメージにあるかと思います。いわゆる小規模製造業です。

しかし国やTVの取り上げられ方をみると、中小製造業も町工場として扱っています。

町工場ガイドでは、国の基準に準じて、中小製造業までを町工場と定義するように致します。

中小企業庁:F&Q「中小企業の定義について」

基本300人の規模での中小製造業はニッチメーカー型(自社商品を持っている町工場)の町工場である場合が多いです。

一部(部品、工程)の加工、組み立て?受託製造業?

転職者
転職者

受託製造業ってあまり聞かないけど何?

メーカーとは違うの?

というか製造業=メーカーじゃないの?

町工場/中小製造業は、メーカーや親企業から受注し、製品の一部品を製造したり、工程の一部を受託する工場が大半です。このような生産形態を大きく受託製造業と呼びます。よく言われる意味のメーカーとは少し違います。

ただ世の中の書籍は一般的に製造業=メーカーで書かれていることが大半です。

そのため、町工場で働く人、依頼する人、転職する人は町工場について調べても混乱し、理解が進みません。

町工場ガイドでは製造業=①受託製造業と②メーカーに分けて考えます。

製造業の代表格であるメーカーは大企業であることが多く、特定の製品を設計から企画開発して、製造・販売までするビジネスモデルです。ビジネスモデル(バリューチェーン)は以下のようになっています。主活動である加工・製造以外に商品開発、設計、販売など数多くの機能を持っています。

自動車のメーカーは?家電メーカーは?と聞けば、有名な社名が皆さんもいくつか浮かぶでしょう。メーカーの商品を皆さんも生活でよく利用されているかと思います。

出典:にっぽん http://hayagyoku.blog113.fc2.com/blog-entry-6951.html

しかし、上記の全てをメーカーは自社で賄っているわけではありません。特に加工・製造・組み立ては、自社と町工場/中小製造業に委託しながら最適化を図っています。

一方、中小製造業/町工場は基本メーカーではなく、受託製造業が大半です。

自社で商品企画開発、設計、販売などの機能はないし、行いません。(後に書きますがメーカー型の町工場もあります。基本は受託製造業であり、単独部品のニッチメーカー型であることがほとんどです。)

受託製造業である中小製造業/町工場の商品は自社の技術力サービスです。

加工に特化し、メーカーの加工・製造の一部又は全部を受託し、メーカーの製品の部品などを製造します。町工場はメーカーではなく、メーカーのお手伝いをしているイメージです。

メーカーが町工場を活用するメリットは、主に以下の3点が挙げられます。

  1. 専門知識の活用: 受託製造業である町工場の高度な技術と製造能力を活用できる。これにより、メーカーは自社にない技術の活用や製品開発や販売に専念できる。
  2. コスト削減: 外部の生産設備や労働力を効率的に活用し、製造コストを低減させることができる。
  3. リスク分散:需要の変動に対応しやすく、生産規模を柔軟に調整できる。

特定の加工や工程に特化した受託製造業である町工場/中小製造業と、特定の産業で製品を開発・製造・販売を行うメーカーが、互いに持ちつ持たれつで日本の製造業を構成しております。

受託製造業である町工場は市場の変動が激しい今後ますます成長する可能性があります。

ちなみに受託製造業=下請けと思われことも多いです。下請けと聞くと悪いイメージを連想される人も多いと思いますが、下請けは悪いことではありません。カッコよく言えばアウトソーシング、外注です。

下請けは悪い?悪いのは下請け体質である(リンク)

その他特徴【工場と工房の違い】

個人
個人

近くに◯◯工房があるから、今度私のものづくりを相談してみよう!

町工場を判断する際によく迷うキーワードに「工房」があります。

工場と工房の違いはズバリ、BtoB or BtoC なのか?詳細な図面がある or ないのか?で判断できます。

工場は基本、BtoBの生産財である工業製品を加工生産しているため、細かい寸法などが記載された図面があります。同じ製品は同じであることが求められます。

工房は基本、BtoCで職人の手作業であり、全く同じ商品であることは求められていません。違いに価値がある商品も多いです。(革製品、木工、木彫り、ガラス細工など)

あなたのものづくりは、どちらになるでしょうか?町工場に依頼したい人町工場で働きたい人は自分の依頼内容・転職先を整理することがとても重要です。

その他特徴【名前や立地と感覚】

他の項目でざっくりと整理すると以下の特徴が多いです。(以下は僕が感じる特徴ですので、定義ではありません)

名前・法人名

○○製作所、◯○鉄工所、○○精機(精密)の名前ばっかりです。

また古くから経営しているため有限会社も多いです。

立地・工業集積

なんとなく住宅街にある工場が町工場のイメージがありますが、工業地帯にある工場も定義が一致すれば町工場です。

関東では大田区や墨田区、関西では東大阪などは町工場が多いことで有名です。

感覚・ひっそりとしている(笑)

町工場は、モノを作ることに特化しています。
パソコンが苦手な経営者が多く、HPもなく、営業力が弱いです。
また製品も、お客様の図面を基に加工しており、守秘義務のため、アピールできません。

こんなところに町工場が!!というお宝な町工場が実はあなたの近くにあったりします。

まとめ

町工場ガイドの町工場の定義をご理解いただけたでしょうか?

町工場:多品種少量生産で工業製品の一部(部品、工程)の加工、組立等している中小受託製造業

町工場ガイド

今後、町工場で働く人町工場に依頼したい人町工場で働きたい人、それぞれのカテゴリーの記事を読み進めていくために、もう少し町工場を深掘りしていく必要があります。

次回はさらに深掘りして、町工場理解のための4つのステップを紹介していきたいと思います。

読み進めていただければ幸いです。

応援・コメントも宜しくお願い申し上げます。

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