町工場の加工方法ってどんなのがあるの?
この製品を作るのはどの加工方法が適しているの?
転職したらどんな加工をするんだろうか…
町工場といえば職人技でしょ!
町工場はその規模の小ささからひとつの加工技術、加工方法に特化していることが多いです。又、加工方法を複数持っているような見えるHPの内容でも、自社にない加工方法は外注している場合もあります。その工場がどの加工方法、技術を持っているのかを見極めることは重要です。基礎中の基礎のため、理解できている人は読み飛ばして下さい。
この記事を読む価値
『日本の町工場について、4つの視点の2の視点を学ぶことで加工技術から町工場をより深く理解する!』
町工場で働く人:『自社を理解し、自社を見つめ直す機会に』
依頼したい人、転職したい人:『町工場の基礎を理解し、今後の活動に役立てる』
注意事項
①町工場ガイドでは、とりあえず今後読み進めていく上で必要な最低限の加工方法の知識をまとめております。それぞれの細かい技術情報はかなり深いため、より深く知りたい方は、、他のサイトや書籍の情報をご参照ください。
②町工場ガイドでは一般的な町工場で多い重化学工業である金属工業・化学工業・機械工業寄りにお話を進めております。加工方法も重化学工業で多く使われる加工方法の紹介になりますのでご了承ください。
1、町工場の加工技術一覧!最低限これだけは理解しておこう!加工方法のざっくり説明。
町工場ガイドでは、町工場の加工技術を以下8カテゴリーに分類しました。様々なサイトで様々なカテゴリーで紹介されておりますが、筆者がわかりやすいと思ったカテゴリーで紹介致します。
- 工具で削って形をつくる「切削加工」
- 砥石で磨いて形をつくる「研削加工」
- レーザーや放電で局部的に溶かして形をつくる「特殊加工」
- 金型や型を使って変形させて形をつくる「塑性・成形加工」
- 鋳型に溶かした金属を流し込んで形をつくる「鋳造加工」
- 金属や接着剤を使って材料同士を接合し形をつくる「接合加工」
- 金属や樹脂を積層(付加)して形をつくる「積層造形加工」
- 形を変えずに材料の特性を変える「熱処理・表面処理」
工具で削って形をつくる「切削加工」
切削加工は、材料を削り、希望の形にする加工です。
旋盤加工やフライス加工、穴あけ加工、などがこのグループになります。材料から削り出すため、強度の強い材料を作ることができます。反面、加工には時間を要し、削り取れない(工具が入らない、当てられない)箇所の加工ができないなどの制約があります。
砥石で磨いて形をつくる「研削加工」
研削加工は主に切削加工と同じグループで紹介されることが多いですが、加工精度は切削加工より高く、一般的に高い精度(寸法)と表面粗さ(加工面の綺麗さ)を求められる製品を加工します。反面、削れる量が少ないため、加工には時間を要します。
一般的に切削加工である程度の希望の寸法前まで加工し、仕上げで研削加工を行う場合が多いです。
レーザーや放電で局部的に溶かして形をつくる「特殊加工」
特殊加工は、レーザー加工や、電気を使用した放電加工、化学反応(腐食作用)によるエッチング加工などがあります。切削加工や成形加工では難しい形状の加工も可能であったり、削れないような硬い材料の加工も可能です。
金型や型を使って変形させて形をつくる「塑性・成形加工」
成形・塑性加工は、薄い金属板から金型で打ち抜いたり曲げたりする板金加工や、成形金型を使ってプラスチック製品を生み出す射出成形、鍛造や転造などがこの分類になります。
加工精度が出にくい半面、型さえあれば短時間で加工できるため大量生産に向いており、身近に見る製品の多くはこの成形加工で造られています。
鋳型に溶かした金属を流し込んで形をつくる「鋳造加工」
鋳造加工は、溶けた金属を鋳型に流し込む加工方法。型は砂型などいろいろとあります。プラスチックの射出成形加工の金属版の認識で問題ないです。
金属や接着剤を使って材料同士を接合し形をつくる「接合加工」
接合加工は、複数の部品同士を溶接や接着などで接合する加工です。同じ金属を接合する溶接や違う金属同士を接合するろう付けなどがあります。複雑な形状や中空構造など一体での加工が困難な場合は、一体物として造るよりも、少し分けて(部品にして)、その後接合加工することで、安く加工できる場合が多いです。
金属や樹脂を積層(付加)して形をつくる「積層造形加工」
積層造形加工は、切削加工などの除去加工とは逆で、金属や樹脂を積層しながら形をつくる3Dプリンターが代表的です。世の中に広まったのは最近ではありますが、その技術発展は目覚ましく、金属3Dプリンターで積層中に切削加工を施し、複雑な形状と精度を実現させる設備も出ております。
設備として取り入れている町工場もあり、様々な加工方法や技術と組み合わさることにより、今後かなり期待できる加工方法である反面、時間を要するため大量生産にはまだ向きません。
形を変えずに材料の特性を変える「熱処理・表面処理」
熱処理・表面処理は、形をつくるのではなく、材料の性質を変える加工方法です。硬さを変える他、サビを防ぐ性質などを付与します。材料自体の特性を変える熱処理に対して、材料の表面に特性を持った皮膜を付着させるものが表面処理になります。
町工場が持つ加工技術は、以上の8つのグループのいずれかに分類されます。
2、深く学ぶには、加工を見せてもらうのが一番!
なかなか加工方法の分類だけはイメージできても、深く理解するのは至難の業です。
加工方法は一緒でも、その町工場の強みや独自技術は千差万別です。正直、さらに深掘りする為にはその町工場に出向き、町工場の方にご説明してもらうのが一番効果的です。
昨今、若い人の加工離れや、ファブレス企業が増え、過去のデータからなんとなく同じ工場に依頼するメーカーが多くなってきていると感じています。
ぜひ一度、工場見学が可能なのであれば、足を運ぶことを強くおすすめします。また実際に加工を見せてもらうのもいいでしょう。自ら加工を目にすることは、百聞は一見にしかずで、大きな学びがあります。その際に最低限、この記事の内容は理解しておくことは重要です。
まとめ
何か部品をつくる際の選択肢として色々な加工方法がありますが、その選び方、依頼の仕方次第で品質・コスト・納期に大きな差が生まれます。私も切削加工の町工場を経営していますが、「これ板金加工の仕事だよな〜」「これはレーザー加工じゃないと厳しいな〜。うち設備ないな〜。」という仕事依頼はかなり多いです。
複数の加工技術を持つ町工場もありますが、その中でも得意としている加工技術があると思います。HPから見極めるのは難しいですが、まず大枠を理解し、自身の活動に役立ててください。
発注者や転職希望者は、工場見学可能であれば積極的に工場見学のお願いをしてみましょう。町工場の方は今後、工場見学という機会を設けてみてはいかがでしょうか?
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