町工場といえば下町ロケット!佃社長はかっこいいし、あんな町工場なら働いてみたい!
でも佃製作所って大きいし、研究設備もすごいし、本当に町工場なの?
町工場ガイドを読んでいる人ならば見た!又は読んだ!であろう『下町ロケット』シリーズ。
町工場がわかる!【簡単要約!4つの視点で町工場を理解しよう】を使って、この主人公の佃社長率いる佃製作所が最強な町工場であることを解説していくと共に、4つの視点の理解を楽しく深めていきましょう。
この記事を読む価値
『町工場がわかる!【簡単要約!4つの視点で町工場を理解しよう】を楽しく理解する』
下町ロケットのざっくり解説
これも町工場なのか?という疑問を持たれる方も多いかもしれないが、資本金3000万、従業員数200名の設定で、日本の定義では中小製造業であり、町工場ということになります。町工場とは【日本の町工場の定義と特徴】
小型エンジンメーカーの町工場である佃製作所。その社長である佃航平と優秀な社員たちが高い技術力を武器に、大変な困難に立ち向かっていきながら、大企業や悪の企業にギャフンと言わせるストーリー。
下町ロケット:https://www.tbs.co.jp/shitamachi_rocket/
1作目でロケットのキーデバイスであるエンジンバルブを独自技術で開発して、超大手企業の帝国重工と一緒にロケットを飛ばします。
その後ガウディ計画では心臓に埋め込む人工弁の開発で医療機器市場へ挑戦しています。
その後も、小型エンジンメーカーでありながら、トランスミッションの開発にも成功しております。
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下町ロケットの佃製作所を4ステップで見てみよう
先になぜ町工場業界で佃製作所が最強なのかと言うと
3の視点の町工場のスタイルを包括的に有しており、それぞれのメリットを生かし、それぞれのデメリットを打ち消す経営が可能な体制だからです。
では、下町ロケットを知っていることを前提に、実際に4つの視点で佃製作所を町工場として理解していきましょう。
1の視点【関わっている工業製品で見る】
佃製作所のメイン事業は小型エンジンの製造、販売なので機械工業の小型エンジンを搭載するモビリティに関わっていると思われます。
2の視点【特化している製品、加工方法、工程を見る】
技術開発部に小型エンジン開発チームとロケットバルブチームがあることから、自社で研究を行い、試作、組み立てまでは行っていると仮定します。
主要製品は小型エンジン加工、工程は加工、組み立てであり、加工設備は切削加工の設備が見受けられたので切削加工とします。(ロケット同様、小型エンジンのキーデバイスのみ自社内で製造し、その他部品に関しては、仕入れたり、外注を利用しているでしょう)
3の視点【町工場のスタイルで考えよう】
ベルトコンベアで小型エンジンを大量生産しているシーンもあれば、中小企業には過剰とも捉えられたクリーンルームもある研究開発室を有しており、優秀な技術者による設計から実験までのシーンもよく見られます。
主要取引先にエンジンを定期的に納入していたことを考えると、見込み生産型であり、メーカー型です。
その反面、技術力を武器に色々な開発依頼に対して受注生産型であり、研究開発支援型でもあります。
極端な例ですが、すべてのスタイルを兼ね備えた町工場といえます。
4の視点【町工場の強みをQCDSEで見る】
ここは細かい内容になるので、佃製作所のワークサイズや設備などはわかりませんが、あえて言うなら一番の強みは熱い想いと提案力でしょうか?(笑
QCDSEで見てみると、圧倒的な技術とロケット品質の『Q』と色んな案件に対応できる『S』と自社研究などの『E』が圧倒的に優れています。
上記をまとめると、以下のようになります。
1の視点 | 機械工業の小型エンジンを搭載するモビリティに関わる |
2の視点 | メインは小型エンジンの加工、組み立て、切削加工? |
3の視点 | 見込み生産型、受注生産型、メーカー型(BtoB)、研究開発支援型の全てのスタイル |
4の視点 | 圧倒的な技術+ロケット品質のQ、提案力と様々な案件への対応力のS、自社研究のE |
なぜ佃製作所は町工場最強説なのか
圧倒的な技術力はもちろんですが、何が最強かと言うと、3の視点の町工場のスタイルを包括的に有しています。
それぞれのメリットでそれぞれのデメリットを打ち消す経営ができる体制になってます。
見込み生産・メーカーによる量産で安定的な利益を確保し、その資金を研究開発にあて、さらに受注製造型、研究開発支援型などで高付加価値製品を生み出しています。ロケットバルブや、ガウディの人工弁ですが、投資額に対して売上は然程期待はできないでしょう。
ですが、受注生産型、研究開発支援型のロケットバルブが採用されたことによる「ロケット品質」が評価されたり、ガウディなどのメディアの注目も高い製品の開発に成功したことで、見込み生産型である小型エンジンや周辺デバイスの受注がさらに増えていく。安定的な利益が確保できれば、研究開発に資金を投入でき、高付加価値化に繋がる。(トランスミッションの開発にも繋がる)
まさに町工場・製造業の成長の理想的なサイクルが回っています。
現実世界に佃製作所のような町工場が増えると、日本でも世界に誇れるような製品がもっと生み出されるであろうと考えます。
まとめ【でも現実はこうはいかない…】
ざっくりと佃製作所で4つの視点を解説して参りました。
町工場に依頼したい人、町工場で働きたい人は町工場を探すとき、自身の希望と町工場の4つの視点とのズレがないか確認し、発注すると今までより最適な町工場を見つけられると思います。
佃製作所に依頼する場合は
- 小型エンジン、周辺デバイス関係の加工依頼
- 超高付加価値製品の駆け込み寺(一般的な受注生産はしてくれなそう)
として町工場を探している場合は、良い選択かもしれませんが、何かと研究開発などでコストがかかっているため、Cが他と比べると高くなる気もします。
ここまで、佃製作所の最強説を語られていただきました。
しかし、現実世界では、規模が小さい(10〜30人程度)町工場が圧倒的に多く、経営資源に限界があり、佃製作所のような包括的なスタイル、経営資源を有することは難しいです。
佃製作所まで行くと皆様が考える中小製造業/町工場とはかけ離れていると思います。現実の町工場は佃製作所のようにはいきません。
町工場の状況は十人十色です。そして何を目指すの?自社にとって何が一番いいのかは、その町工場の状況によりけりだとは思います。
町工場で働く人は、今回の記事を「現実とは違いすぎる!」と悲観して読むのではなく、「佃製作所のようになることを目指していく!」といった夢を持つことで、町工場の経営や仕事が楽しくなるのではないでしょうか
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